SSL証明書とは
SSL証明書は、Webサイトとユーザーのブラウザ間の通信を暗号化する仕組みです。URLが「https://」で始まるサイトは、SSL証明書が導入されています。
SSLとHTTPSの関係
- HTTP:通常の通信(暗号化なし、第三者に内容を見られるリスク)
- HTTPS:SSL/TLSで暗号化された通信(安全)
- 常時SSL化:サイト全体をHTTPSにすること
なぜSSL化が必要なのか
1. セキュリティの確保
SSL化されていないサイトでは、以下の情報が第三者に盗まれる可能性があります:
- お問い合わせフォームの入力内容
- ログインID・パスワード
- クレジットカード情報
- 個人情報(氏名、住所、電話番号等)
2. Googleの検索順位に影響
Googleは2014年から、HTTPS化されたサイトを検索順位で優遇すると発表しています。SEO対策の基本として、SSL化は必須です。
3. ブラウザの警告表示を回避
Chrome、Firefox、Safariなどのブラウザでは、HTTPサイトに「保護されていない通信」という警告が表示されます。これを見たユーザーは、サイトから離脱してしまう可能性があります。
| ブラウザ | HTTPサイトの表示 |
|---|---|
| Chrome | 「保護されていない通信」とアドレスバーに表示 |
| Firefox | 「安全ではありません」と表示 |
| Safari | 「安全ではありません」と表示 |
4. 信頼性の向上
HTTPSサイトは、アドレスバーに🔒(鍵マーク)が表示され、ユーザーに「このサイトは安全だ」という印象を与えます。
SSL証明書の種類と選び方
認証レベルによる分類
| 種類 | 認証レベル | 費用 | 取得期間 | おすすめ用途 |
|---|---|---|---|---|
| DV証明書 | ドメイン認証のみ | 無料〜数千円/年 | 数分〜数時間 | 個人サイト、中小企業サイト |
| OV証明書 | 組織認証 | 3〜10万円/年 | 1〜3日 | 企業サイト |
| EV証明書 | 拡張認証 | 10〜20万円/年 | 1〜2週間 | EC、金融、大企業サイト |
無料SSL「Let's Encrypt」とは
Let's Encryptは、無料で利用できるSSL証明書です。多くのレンタルサーバーが標準対応しており、初心者におすすめです。
Let's Encryptの特徴:
- ✅ 完全無料
- ✅ 自動更新対応(多くのサーバーで)
- ✅ DV証明書と同等のセキュリティ
- ✅ 主要ブラウザすべてで信頼される
- ❌ 有効期限90日(自動更新で問題なし)
レンタルサーバー別SSL設定方法
1. エックスサーバーでの設定
- サーバーパネルにログイン
- 「SSL設定」をクリック
- 対象ドメインを選択
- 「独自SSL設定追加」タブをクリック
- 「確認画面へ進む」→「追加する」
- 反映まで最大1時間待機
費用: 無料(Let's Encrypt)
2. ロリポップでの設定
- ユーザー専用ページにログイン
- 「セキュリティ」→「独自SSL証明書導入」
- 対象ドメインにチェック
- 「独自SSL(無料)を設定する」をクリック
- SSL設定作業中(5分程度)
- 「SSL保護有効」になれば完了
費用: 無料(Let's Encrypt)
3. さくらインターネットでの設定
- サーバコントロールパネルにログイン
- 「ドメイン/SSL」をクリック
- 対象ドメインの「登録」をクリック
- 「無料SSLの設定へ進む」
- 「無料SSLを設定する」をクリック
- 反映まで数時間待機
費用: 無料(Let's Encrypt)
4. ConoHa WINGでの設定
- コントロールパネルにログイン
- 「サイト管理」→「サイトセキュリティ」
- 「無料独自SSL」→「利用設定」をON
- 自動的にSSL証明書が発行・設定される
費用: 無料(Let's Encrypt)、しかも自動
WordPressサイトの常時SSL化手順
SSL証明書を設定しただけでは不完全です。WordPressサイト全体をHTTPSに統一する「常時SSL化」が必要です。
ステップ1: WordPressアドレスの変更
- WordPress管理画面にログイン
- 「設定」→「一般」
- 「WordPressアドレス(URL)」を
https://に変更 - 「サイトアドレス(URL)」を
https://に変更 - 「変更を保存」をクリック
- 一旦ログアウトされるので、再ログイン
重要: SSL証明書が正しく設定されていないと、この操作後にサイトにアクセスできなくなります。必ずSSL設定完了後に実施してください。
ステップ2: HTTPからHTTPSへのリダイレクト設定
古いHTTPのURLでアクセスした場合、自動的にHTTPSにリダイレクト(転送)する設定が必要です。
.htaccessファイルに追記:
# HTTPからHTTPSへリダイレクト
<IfModule mod_rewrite.c>
RewriteEngine On
RewriteCond %{HTTPS} off
RewriteRule ^(.*)$ https://%{HTTP_HOST}%{REQUEST_URI} [R=301,L]
</IfModule>
追記場所: WordPressルートディレクトリの.htaccessファイルの先頭(# BEGIN WordPressの前)
ステップ3: 内部リンクの修正
記事内の画像やリンクがhttp://のままだと、「混在コンテンツ」のエラーになります。プラグインで一括置換しましょう。
推奨プラグイン:Search Regex
- プラグイン「Search Regex」をインストール・有効化
- 「ツール」→「Search Regex」
- 「Search pattern」に
http://あなたのドメイン.com - 「Replace pattern」に
https://あなたのドメイン.com - 「Replace」をクリックして確認
- 問題なければ「Replace & Save」で一括置換
ステップ4: 外部サービスの設定変更
以下のサービスに登録している場合、URLをHTTPSに変更:
- Google Analytics
- Google Search Console
- Google AdSense
- SNS連携(Facebook、Twitter等)
SSL化後の確認項目
チェックリスト
| 確認項目 | 確認方法 |
|---|---|
| アドレスバーに🔒マーク | サイトを開いて確認 |
| HTTPからHTTPSへリダイレクト | http://でアクセスして自動転送されるか確認 |
| 混在コンテンツなし | ブラウザのデベロッパーツールでエラー確認 |
| 全ページ正常表示 | 主要ページをいくつか確認 |
SSL確認ツール
SSL Server Test(Qualys SSL Labs)
URL: https://www.ssllabs.com/ssltest/
- サイトURLを入力
- 「Submit」をクリック
- 数分待つと、SSL設定の評価が表示される
- 評価「A」以上なら問題なし
よくあるエラーと対処法
エラー1: 「この接続ではプライバシーが保護されません」
原因:
- SSL証明書がまだ発行されていない
- SSL証明書の有効期限切れ
- ドメインとSSL証明書のドメインが一致していない
対処法:
- SSL証明書の設定を再確認
- サーバー会社のサポートに問い合わせ
エラー2: 混在コンテンツの警告
原因: ページ内にhttp://の画像やスクリプトが残っている
対処法:
- ブラウザのデベロッパーツール(F12)を開く
- Consoleタブでエラー内容を確認
- 該当のURL(画像やCSSファイル等)を
https://に修正
エラー3: WordPressにログインできなくなった
原因: SSL設定前にWordPressアドレスを変更してしまった
対処法:
- FTPで
wp-config.phpを開く - 以下のコードを追記:
define('WP_HOME', 'http://あなたのドメイン.com'); define('WP_SITEURL', 'http://あなたのドメイン.com'); - 一旦HTTPでログイン
- SSL証明書を正しく設定
- 再度HTTPS化手順を実施
SSL証明書の更新について
Let's Encryptの自動更新
多くのレンタルサーバーでは、Let's Encryptの証明書は自動更新されます。
| サーバー | 自動更新 |
|---|---|
| エックスサーバー | ⭕ 自動更新 |
| ロリポップ | ⭕ 自動更新 |
| さくらインターネット | ⭕ 自動更新 |
| ConoHa WING | ⭕ 自動更新 |
有料SSL証明書の更新
有料のSSL証明書は、有効期限(通常1年)の1ヶ月前にメールで通知が来ます。更新手続きを忘れずに行いましょう。
まとめ:SSL化は必須のセキュリティ対策
Webサイトの常時SSL化(HTTPS化)は、もはや必須の対策です:
- レンタルサーバーで無料SSL(Let's Encrypt)を設定
- WordPressアドレスをHTTPSに変更
- .htaccessでHTTPからHTTPSへリダイレクト
- 内部リンクを一括置換で修正
- 外部サービス(Google Analytics等)のURL変更
- 確認ツールで問題ないかチェック
AsamiWorksでは、SSL証明書の設定から常時SSL化まで一貫してサポートしています。既存サイトのSSL化も対応可能。まずは無料相談で、貴社サイトのセキュリティ診断を受けてみませんか?